大阪府に本社を置く大手総合食品商社の尾家産業㈱は,昭和22年に創業。ホテル・レストラン・居酒屋などの外食産業向け,弁当・総菜・宅配などの中食事業向け,工場やオフィスの給食事業ほか,あらゆる食市場への食材卸として,また食品小売業としても活躍している。売上は毎年順調に推移し,2014年3月期の売上高は723億円だ(図表1)。
北海道から沖縄まで,全国に営業所・支店の事業所を44拠点配し,全国展開する得意先の出店計画とともに営業範囲を拡大してきた。それらの事業所は在庫を保管する物流拠点でもあり,自社車両約400台を活用,配達するドライバーは全員営業マンを兼ねたセールスドライバーだ。同社の成長はドライバーによるルートセールスの力によるところが大だという。
取引先は7,000社,2万2,000か所で,取扱いアイテム数は約9万点。食材は同一カテゴリーで多様な商品がラインナップされるが,同社は得意先に対し複数の食材を提案し,受注後に価格を決めて納入する流れとなる。そのため1週間から10日分程度の在庫は常に持ち,速い回転での多品種小ロット物流,短リードタイムでのジャストインタイム物流への対応力が欠かせない。
とはいえ,同社は物流事業者ではなく,あくまでも卸事業者だ。メーカーから商品を購入した在庫はすべて同社の資産となるため,商流側・荷主の立ち位置となる。
「センター現場で行っている作業は物流会社さんとほぼ同じなのですが」と語るのは営業本部の大神良次物流部長兼受注センター長だ。
「物流会社さんでは荷主の託した荷物を入庫,各作業で対価をもらうこととなるのに対し,尾家産業の場合はいくらで仕入れたものを,いくらで売れるのかが勝負となります。その差額から入出庫保管料などを捻出しなければなりません」同社はメーカーへの発注業務のほか,倉庫の需給調整などを行うなか,全得意先へのサービスレベルをさらにアップさせるため,新しい物流システムが必須と判断,3年前から模索を開始した。
図表1尾家産業㈱の会社概要
本社所在地 | 大阪市北区豊崎6-11-27 |
代表者 | 代表取締役社長 尾家啓二 |
創業 | 1947年(昭和22年)10月16日 |
会社設立 | 1961年(昭和36年)2月16日 |
資本金 | 13億570万円 |
年商 | 723億円(2014年3月期) |
従業員数 | 814名(2014年3月末現在) |
上場 | 東京証券取引所市場第一部 |