アイスクリーム商業卸大手の㈱アイスコは,この6年間で売上高を3倍強にするという急成長を遂げた(図表1)。06年には87億円だったグループ全体の連結売上高は翌07年には101億円,09年には倍増の188億円,そして12年には269億円と3倍以上に達している。
アイスコの社名はI Care Everybody Company=あらゆる人々に慈しみの心を持って接する企業でありたい,との意と本業であるアイスクリームをかけた。冷凍食品の卸売業をメイン事業としつつ,スーパーマーケット「生鮮館TAIGA」7店舗,精肉の小売「アイオー」11店舗,保険代理店業「御幸」の経営,さらにニュージーランドで個包装クッキー市場70%を占有するクッキーメーカー「クッキータイム」と業務提携を結び13年12月には東京都渋谷区の原宿駅竹下口に第1号店を出店するなど,多角的な事業を展開している。
アイスコは昭和23年,神奈川県横浜市でアイスキャンディーの製造・卸・販売を展開する相原冷菓店として創業。昭和47年には総合アイスクリーム卸に事業を拡大,その後も順調に事業を広げていった。
中核となるアイスクリーム事業では納価を下げるだけではなく,店舗本来の悩みである他の売り場とのレイアウト調整と販促などを一緒に考え,解決策を提供する「店舗レイアウト最適化」サービスがアイスコの流儀だ。
「店舗と当社が互いにノウハウを提供できるようになれば,2倍の条件は出せなくても店舗が2倍売るための知恵を出し合うことが可能になる。信頼関係を構築することが新規開拓につながります」と青木哲也常務取締役は語る。
その一方で,同社が注力するのが新規顧客の獲得だ。開拓専門スタッフが精力的に店舗を積極的に飛び回り,営業スタッフがその後の商談を行うフォーメーションで臨むことで“飛ぶように”契約数は伸び,今年の目標である「新規開拓500店」も,すでに過半数を達成している。
同社の物流拠点は本社のある神奈川県横浜市のほか,千葉物流センター,狭山営業所,富士営業所,名古屋営業所など,首都圏を中心に7拠点体制を敷いていた。だが近年の爆発的な拡大と,首都圏から東海への物流網を最大限に機能させることを目的に,物流改革戦略を策定。最新鋭の設備を備えたマザーデポとして厚木物流センターを新設したもの。
新センター内には研修センターも装備,本年度の新入社員17名はここで研修を実施した。
図表1アイスコの会社概要
代表者 | 代表取締役 相原敏貴 |
本社 | 神奈川県横浜市泉区新橋町1212 |
創立 | 1948年(昭和23年)5月 |
資本金 | 7,500万円 |
年商 | グループ合計:292億円(2013年度) |
従業員数 | 680名 |
グループ営業種目 | アイスクリーム類及び冷凍食品等の卸売,スーパーマーケット,食肉専門店,保険代理店 |