アパレル物流/DHLサプライチェーン㈱ アパレル物流で音声認識システム導入
25%作業効率アップを達成
音声システム「Vocollecct Voice」を導入

物流

ラグジュアリーブランドの仕分けに採用

メールとロジスティクスを2大事業とし,ボンを本拠にグローバルに事業を展開する世界最大の物流企業である独ドイツポストDHLグループ内の日本法人,DHLサプライチェーン㈱(図表1)は,首都圏にある同社物流拠点で,ヴォコレクトジャパン㈱の提供する音声認識システム「Vocollect Voice」を導入,2010年9月より本格導入を実施している。

同社グループの日本における事業は,国際エクスプレスのDHLジャパン㈱,航空・海上輸送のDHLグローバルフォワーディングジャパン㈱,そして3PL業務を主体にサプライチェーンを支援するDHL サプライチェーン㈱の3社で展開。DHLサプライチェーンは2005年,DHLの親会社であるドイツポストが当時世界最大の3PL事業者であった英エクセル社の全株式を取得しブランド名を変更,現在日本国内で60 か所以上の物流拠点を配している。今回の音声認識ソリューションの導入は首都圏の世界的ファッション・アパレル企業向けの物流センターで,対象はラグジュアリーブランドとなる。出荷業務の精度向上,作業の効率化を目的に音声ソリューション端末を25台を導入した。

図表1DHLサプライチェーン㈱の会社概要

本社東京都品川区北品川4-7-35
御殿山トラストタワー8F
設立1970年
資本金5,000万1,000円
売上高133億ユーロ
代表者代表取締役社長 松岡 昇
従業員数877名
事業内容サプライチェーンマネジメント(SCM)のトータルサポート(倉庫管理,在庫管理,代替品物流,等)
主要納入先ハイテク,通信,PC周辺機器・部品,消費財,医薬品,自動車,小売

柔軟で迅速な出荷体制を目指す

■画像:1 従来の作業はモトローラのハンディを活用,バーコードとHTの操作に追われていた

本センターは米マンハッタン・アソシエイツ社のWMSを採用しており,ケース単位にユニークな番号を付与,それをもとにハンドリングするオペレーションを構築した。出荷カートンにユニークな番号を付与したラベルがついており,そのカートに入れる商品SKUの情報が紐付けられている。
同センターの出荷量は月間数十万SKU,1日あたりは数万SKUとなるが,出荷に必要な商品の大半はまずトータルピッキングでケース単位で引当を行い,入り数によって割りきれない端数分は個別ピックを実施,それにより店舗別仕分け作業の準備ロケーションには出荷必要数が集約される。
その後工程となる店舗別仕分け作業は,従来ハンディターミナルを活用した種まき作業を行っていた【画像:1】。「その種まき作業のミス率は10PPM以下で,精度はかなり高いものでした」と阿部豊執行役員は語る。

しかしこの作業においては店コード,商品SKU,棚ロケーションなどのスキャンを複数回行い,投入数量をHTで入力するなど,「各作業実績をタイムリーにアップロードするためのトランザクションはかなりの量がありました」と阿部執行役員は述懐する。このためHTを使用する作業はパートのベテランスタッフのみが担当していた。
さらに荷主のビジネス拡大に伴い柔軟で迅速な出荷体制を目指すなか,「1品のバリューが高いため,1件のミスによるお客様の販売機会の損失は非常に大きいものになってしまう。お客様により高品質な物流サービスを提供したい」(同)と,さらなる作業効率化を目指し,ソータやデジタルアソート・システムなど,新たなマテハン機器導入の検討を開始した。
だが仮に同センターでソータを設置した場合,1日に使用するのは1時間程度しかない。「食品など,24時間稼働で仕分けをしている大規模センターではないため,最小の投資で早期回収を実現するには音声認識ソリューションが最適だと,エンジニアリング部門,IT部門と検討を重ね決断しました」(同)

作業効率性25%アップ

■画像:2 音声指示による作業は考える時間をあたえず,迷わず流れるように進行する。動作がきびきびと速くなる効果も

DHLの日本の拠点では音声ソリューションの導入は初となるが,欧米のセンターではVocollect Voiceは多数導入済み。その実績を踏まえたこともあるが,同社が大きく注目したことは作業の「ハンズフリー」効果だった。
「何も持たないハンズフリーで,作業者がシステムと会話しながら自然に作業を行うことに大きく期待しました」と阿部執行役員は話す。

作業風景は【画像:2】の通り。システムと作業スタッフの会話のやりとりは下部の図のようになる。

以上により作業者はケースに入っている全てのものをまき終わり,作業完了となる。
音声ソリューションの大きなメリットとして,慣れない作業者でも短時間のトレーニングでベテラン並みの作業ができる点がある。実際,同センターでは作業者の受け入れも早く,わずか30分間のトレーニングで完了する。

「初心者でも高いレベルで作業を行えるようになり,手と目が完全にフリーとなることで出荷処理の迅速化,精度向上を実現しました。作業効率性は25%アップしています」と松本真二マネージャーは評価する。
システムとのやりとりでは話す速度,会話内容,それらを省略することも可能だが,当初は品質面を低下させないように確認作業を多く採用したという。システムと作業者が何回も確認を経て,生産性よりも正確性を重視させ,その後作業者が慣れてきたら確認作業を省き,効率を上げていった。

ここには「物流品質向上」を重視する同社の想いがある。また音声の指示により,作業する人間の動作のペースが速くなるという。次に踏み出す一歩が早くなり,歩くスピードは自然に速くなり,「無駄なく作業できるように音声がリードしてくれるようですね」(松本マネージャー)と隠れた利点を発見したようだ。
同社ではVocollect Voiceの横展開も検討したいとしている。「音声システムはピッキングのほか,棚卸,入荷など,いろいろな作業に使用できます。そこでワークボリュームが多く,投資効果が出そうな拠点では水平展開していきたい」と阿部執行役員は展望している。

店舗別仕分け作業の作業管理番号を選択

  • 音声作業管理番号?
  • 作業者○です
  • 音声PTS(プット・トゥ・ストア=店舗別仕分け)ですか?
  • 作業者はい
  • 音声作業エリアは?
  • 作業者1

作業エリアを宣言

  • 音声エリア1ですか?
  • 作業者はい

ラベル下4桁からSKU情報と数量を作業者に確認

  • 音声ケースLPN(ライセンス・プレート・ナンバー=ケースごとのユニークな番号)?
  • 作業者7890
  • 音声7890ですか
  • 作業者はい
  • 音声まき数○,SKU:1234REDよろしいですか?
  • 作業者はい
ケースナンバーの下4桁を読み上げることで, ロケーションを確定

種まきするポジションとストアナンバーを確認

  • 音声1ストアナンバー?
  • 作業者999

指示されたポジションに移動,ストアナンバーを読み上げ

  • 音声999に3個?
  • 作業者3です
ピッキングエリア近くに置かれていたVocollect Voice音声機器